副業で月10万円稼ぐ

副業で月10万円稼ぐなら知っておきたい4つの事実

毎月10万円の副業収入が入るようになると個人事業主としての届け出も伴うようになり、マイナンバー制度の導入もあり「副業なんだから」という意識では済まなくなります。税務署への届け出から確定申告まで、確認しておきたい5つの項目を中心に押さえておきたい具体例を紹介します。

マイナンバー制度で個人事業主に

副業収入が増えると、税務署に開業届けの提出義務が発生します。マイナンバー制度をきっかけに発注者を通じて個人の収入が明らかになり、自宅の一室で行う内職作業というわけにはいかなくなりました。

そうなると、確定申告のための帳簿の記帳、配偶者の扶養手当の対象となっていた場合には取り消しや税控除の手続きをしなければなりません。マーケティング戦略以外に、経理上の手続きや記帳準備が求められます。

マイナンバー制度では、発注者に対して受注者のマイナンバーを通知する必要が生まれます。また専従の従業員のマイナンバーを扱う場合もあります。個人情報の漏えいにつながるのではないか、個人情報保護の観点厳重な管理にも神経をとがらせる必要に迫られます。

業務拡大と作業管理に加えて事務作業への対応
  1. 業務の拡大
    基本は、仕事の受注と作業管理です。取引先の信頼の確保、仕事量と利益を増やす戦略は欠かせません。
  2. 事務作業への対応
    経理、福利厚生、マイナンバー制度への対応などの事務作業の時間を確保しなければなりません。
    毎月の収入(外注費を含む)が10万円を超えるようになると、個人事業主として税務署への届け出が必要となるなど、内職気分を切り替えて事業主としての責任や役割が大きくなることを忘れてはいけません。

副業で月10万円稼ぐなら知っておきたい4つの事実

土地の売却など一時的な収入であれば記帳は必要ありませんが、継続して毎月収入が発生する場合は個人事業に該当します。開業届、被扶養者の取り消し、帳簿の記帳など独立した個人事業主としてスタートを切ることになります。マーケティング以外の事務作業が加わるので時間管理も重要になってきます。

まず、事業主として求められる基本的な4項目について紹介しましょう。

【その1】年間20万円以上の収入があれば開業届けが必要

年間20万円以上の収入がある副業を開始すると税務署に「個人事業の開業届出」を届けなければいけません。また確定申告や消費税の納入確認、扶養手当や税控除、青色申告のための記帳作業を開始することも必要となります。

ちなみに、簡単に言うと「収入」は売り上げのこと、「所得」は仕入代金や経費を引いた残りです。年間給与所得が2000万円以下で副業収入が20万円以下であれば副業収入を申告する必要はありません。ただし、医療控除などの申告を行う場合は副業収入が20万円以下でも申告するようになるので注意が必要です。

その他、配偶者の扶養になっていたときの取り消し、消費税の扱い、現金出納帳をはじめ決算を行うために日々の記帳を開始する必要があります。

【その2】開業時に準備が必要なもの
(1)開業届け

事業を開始してから1か月以内に、納税地を所轄する税務署に提出します。アパート経営などの不動産所得が発生する場合も開業届けが必要です。廃業したときも廃業の提出が必要となります。

<手続きと用紙>
管轄する税務署に行き所定の項目を記入して提出するだけで無料です。

(2)確定申告

個人事業主の確定申告は、毎年、2月16日から3月15日の間に行います。前年の1月1日から12月31日までの収入や、外注費、通信費などの経費を除いた「所得」に基づいて計算します。個人事業は青色申告で行うのが一般的で、きちんとお金の出し入れを記帳をしていないと申告ができません。

  1. 青色申告
    売上が10万円程度の場合は簡単な白色申告もありますが、10万円の特別控除や、例えばFXなどで生じた損失が3年間繰越ができるなどのメリットもあり、次年度以降の確定申告を考えると最初から青色申告にしておく方が良いようです。
  2. 基礎控除額
    入出金を単純に記録した単式簿記だと10万円、簿記のルールに基づいた複式簿記だと65万円の青色申告特別控除が適用されます。簿記3級程度の知識は必要ですが、会計ソフトを使ってきちんと現金出納帳から仕訳帳、総勘定元帳を作り決算まで行っていれば、事業拡大に伴い売上が増えても対応がスムーズです。
(3)消費税納税確認

青色申告の場合、1年間(1月1日から12月31日)の売上が1000万円を超えなければ消費税の納税義務は生じません。したがって、月額10万円程度の副収入の場合、特別な手続きはありません。

受注金額や経費の支払いには消費税が含まれますが、一般的に会計ソフトでも「免除事業者」として処理できるようになっています。

(4)扶養手当と税控除
  1. 扶養手当に入っていたら
    一般的に、企業が配偶者手当を支給するのは配偶者の年収が103万円以下となります。1年のうち1か月でも10万円を超えたら、その月の配偶者手当は返納の対象。もし、副業を始めた事業主名で毎月10万円を稼ぎながら扶養手当をもらい続けると詐欺になります。
  2. 税控除の対象となっていたら
    また配偶者の年収が103万円を超えて141万円までは配偶者特別控除税控除は受けられますが、原則として青色申告の事業専従者として一度も給与を得ていないなどの条件があるので、開業届けと同時に切り替えることが必要です。
(5)簿記の知識と帳簿の記帳

帳簿は、単式簿記と複式簿記があります。会計ソフトを使い、日々の現金出納帳や物品や備品の購入ごとに仕訳記帳を行い、決算ができるようにしておきましょう。電気代や家賃など、家庭で使う分を除いた金額を経費として計上することもできるようになります。

【その3】国民健康保険と国民年金

個人事業主になると、国民健康保険と国民年金への切り替え手続きが必要です。国民年金への変更は市町村役場で行わなくてはなりません。

個人事業主になると、国民健康保険と国民年金の支出も必要です。これらは確定申告時に経費として計上することになるので、国税や市町村民税の対策としてもきちんと納付しておくことが大切です。

【その4】マイナンバー制度について

個人事業主には法人としての会社に与えられる法人番号はないので、個人のマイナンバーを使用します。確定申告は平成28年度分からの記載になりますが、支払を受ける場合と専従者給与を支払う場合に作る支払調書にはマイナンバーの記述が必要で、対応が必要となります。

  1. 個人事業主として報酬を受け取る
    取引先から送られる支払額と天引き税額を示す支払調書が税務署に提出されるため、取引先からマイナンバーの通知を求められるようになります。
  2. 専従従業員や外注先に支払いを行う
    従業員がいれば税金を徴収する源泉徴収義務者になるため、マイナンバーを記載した支払調書を作成する立場になります。ただし、支払調書は、年間一定額以上の支払をした人について作成して税務署に提出します。従業員のいない個人事業主は、支払調書の作成と提出作業はありません。

まとめ:副業で月10万円稼いだら事務作業にも強い経営者に

事務作業が苦手ではすまない

一般的に副業で事業を開始する人はデザイナー、プログラマーなど職人気質の人が多く、事務作業が苦手であったり、忙しさのなかで事務作業を怠ることも多く見られます。

しかし、経営状態を把握して売上を拡大するための経営戦略、あるいは事業拡大時に銀行から資金調達をする場合などに簿記の知識は必須となります。また、自分自身の福利厚生をはじめ、マイナンバー制度の導入など、事業主は事務作業を避けて通ることはできません。

売上を上げるマーケティング戦略、そして受注した仕事をこなす毎日と、日々発生する事務作業と、3つの仕事を柔軟にこなしていかなければならないのです。経営者としてのステップアップが求められます。

原価計算にも強くなろう

営業活動で動けば経費が発生し、必要に応じてパソコンを含めた備品の購入や設備投資など経費も膨らみます。個人事業主が自宅の一室で作業をするだけの単純な副業が、毎月10万円の利益(売上から外注費などを引いた分)をあげ、仕事が拡大すればするほど原価計算の知識も欠かせません。

顧問税理士を依頼すると、毎月3万円程度の固定経費が必要です。確定申告の準備はしてくれても、日々の現金出納帳の記帳まではしてくれません。経理に強い、また事務処理も無理なくこなせる経営者をめざす意欲を持つことがとても大事になってきます。毎月10万円を稼ぐということは、副業でありながら副業を超えてしまって個人事業主として社会的な役割を担う分岐点でもあります。

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