会社が副業禁止する本当の理由

ご存知ですか?会社が副業禁止する本当の理由と対処法

副業は、法律で禁じられていません。だとすると、「本業がおろそかになる」という固定観念だけで家業である農業や資産運用など全部を禁止することはできません。さらに副業スタイルが多様化した今、会社に不利益をもたらさない副業について、会社も社員も納得する理由が必要になっています。

 

管理職や同僚からも白い眼で見られるのはなぜ?

法律で許されても周りは認めたくない

経営者は「給料を払って雇用している社員が副業をする」という行為を疎ましく思い、上司は職務に専念させることのできない「無能管理職として見られる不安」を抱き、同僚からは収入が多いことに対する妬みもあり「チームワークを乱す行為」と白い眼で見られます。

いずれにしても、組織の中で副業は周囲をヤキモキさせる行為であることは否定できません。

法律上、会社は副業を禁止できないことはよく知られていますが、では「副業可」としたときにメリットが生まれる社員と、逆の立場である会社それぞれ両者のプラス面とマイナス面を評価してみる必要がありそうです。

会社側として事情が理解できる、許容できる、納得できる副業とはどういうものであるかを明らかにすることで、副業禁止の範囲も見えてきます。

会社が副業禁止する本当の理由

1.本業がおろそかになるという固定観念

(1)背景が異なる3つの副業モデル

本業がおろそかになるという固定観念があります。

しかし、副業は大きく3つに分けて考えてみる必要があります。本業がありながら副業をする背景にはこの3つの異なる背景があることを無視することはできません。背景によっては会社も柔軟に対応せざるを得ないこともまた事実です。

①収入補てん及び能力や資産の活用

  • 1つは正社員としての年収が公務員よりも30%以上低い人が多い中小零細企業社員の場合です。
  • もう1つは、正社員として働きサラリーマンの平均的年収を超えている場合です。30~40代で年収300万円台の人と500~800万円あり趣味や特技の延長として副業する場合ではまったく事情は異なります。
  • もう1つ、家業である農業収入や不動産収入、自分の資産を活用するアパート経営や株取引などによって副業収入が発生している場合があります。

②収入アップ以上の目的がある

年収が低く生活費を増やすことが目的の人は自分の時間を割いてでも副収入を得たいと考えますが、本業で得る収入が高い人は、収入を増やすこと以上に特技や能力を活かせる喜びの方が大きいでしょう。

目的が違います。家が農家であったりアパートを所有していたり、自分の資産を運用したり信託したりする必要が出てきてしまう場合もあります。

(2)副業に伴う効果と弊害

次に、副業する社員にとってプラス面とマイナス面を考えてみましょう。

①社員にとってのプラス面は・・・

  • 生活費が増え少しばかりの余裕ができる
  • スキルアップが図れる
  • 人脈が広がる

②社員にとってのマイナス面は・・・

  • 時間に余裕がなくなり本業がおろそかになる
  • 疲労がたまりストレスも増える
  • 労災などの事故につながる確率が高くなる

いずれにしても、会社の利益につながるとはほとんどが考えないはずです。

2.会社にとっては問題だらけの個人副業

(1)ネット副業でも言い訳はできない

例えば、副業アルバイトとして出勤が伴わないネット副業はどうでしょうか。

①メール返信で勤務時間中の対応も

ネットショップやアフィリエイトショップ、FXなどが代表的ですが、携帯メールの設定をすればリアルタイムで情報が送られてきます。

注文があればメールが入り、場合によっては問い合わせメールにも答える必要が出てくる。本業の勤務中であっても寝ていても24時間リアルタイムで入る成果が気になり次の対応をする必要が必ず出てくるのです。

本業の仕事中に着信音がしょっちゅう鳴るようになると周りは非常に迷惑です。また、その対応に時間がとられるようになると、職務に専念するという職務規定に抵触する恐れも出てきます。ネット副業だから良いという言い訳は通りません。

(2)会社にとってはマイナス面ばかりが見えてしまう

会社にとってはマイナス面ばかりが見えてしまうでしょう。

①会社にとってのマイナス面

  • 生活費も足りない給料の安い会社だという風評が広まる
  • 本業で得たスキルを他社で活用することもありおもしろくない
  • 社内の秘密やノウハウが流出してしまう恐れがある
  • ストレスや疲労による労働災害につながる恐れがある
  • 社内に広まるとチームワークが損なわれる恐れが出てくる

これらのマイナス面を超える大きな利益が期待できるのか?会社側の度量、裁量ひとつだという指摘もあるでしょうが、リスクを恐れる人間心理からいっても「雇っている社員が本業に専念しない」という現実をそう簡単に見過ごすことはできないはずです。

副業をする人の対処法

1.副業をする人の対処法

(1)本業はおろそかにしない努力と工夫

マイナンバー制度によってこれまで以上に副業で得る収入を隠したままにすることは難しくなるでしょう。確定申告をすると前年度の所得にかかる税金が明らかに増えます。

事業所は個人住民税を特別徴収(給与天引き)する義務があるので、経理部署が見れば何らかの副業収入があることはすぐにわかります。

この場合、生活費を目的としたアルバイト収入のために時間を使っていると、会社は就業規則を根拠に指導をするかもしれません。

2.華美な生活スタイルは厳禁

(1)副業は静かな自己主張

これらのマイナス面を克服して、堂々と副業を行うことはできるのでしょうか。

①正当性の主張はしない

前述したように、会社員の副業は法律で禁止されているわけではありません。だからといって「就業規則を無視」するとか「就業規則を改めるべきだ」と大声を上げるなんていうことは考えるべきではないでしょう。

どういう状況であれ、就業規則に反していることは明らかです。

また、副収入を得て自分たちより良い生活をしている人に対して同僚が全員、支持してくれるわけではありません。やっかみや妬みなども生まれ、仕事が終わった後の飲み会にも「お前はアルバイトだろ」と嫌みの1つも言われるようになるでしょう。会社が想定する、チームワークの乱れにもつながるのです。

副業は見せつけるものではなく、自分や家族の生活を守ったり自分の特技を生かす静かな自己主張です。

(2)華美な生活スタイルは厳禁

では、会社に認めてもらえる副業にするにはどうすれば良いのでしょうか。

  1. 生活費が目的であっても理由がある
    もっとも理解されるのが難しい、生活費の補てんが必要な場合です。
    家族が病気で医療費がかかるとか、教育費がどうしても一般家庭よりも必要だとか。つまり、贅沢をするためではなく必要に迫られてといることがきちんと説明できるようにしておくことが大切です。会社から指導を受けても、どうしても譲れない家庭の事情を根拠とすることです。
  2. 華美な生活スタイルを見せつけない
    また、スキルアップを楽しみたいのであれば、余暇の充実で本業のモチベーションが上がり貢献にもつながる方向性が見えるようにしておくことも1つの方法です。
    また、家業であれば現実として公務員でも大きな利益をあげなければ社会的にも認められているという強みもあります。家業である農業や資産運用に関しては、本業には影響を及ぼさず、これからも継続して安定した収入が得られる事業なので堂々と継続できます。
    高級車を乗り回したり、ギャンブルに使うなど、華美な生活目的ではないという印象を得られるように努力をすれば周囲のマイナスイメージはなくなるでしょう。

(3)会社の利益に反しないことを明確にしておく

  1. アルバイトの目的を明確にする
    アルバイト先は、アルバイトに払った給与を経費として計上します。
    また、給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書を事業所に提出するようになり、年末になると社員全員の年末調整を行います。年末調整を行わなくても、その会社に国税調査が入れば支払先がわかってしまいます。
    マイナンバー制度も導入され、アルバイトはもちろんアフィリエイト収入なども個人の副業収入が隠しにくくなります。ホステスのアルバイトも含め、これまでルーズだった個人の副業収入に伴う確定申告は逃れることができなくなり、毎月給料から特別徴収(天引き)されている個人住民税が大きくなれば会社にもわかってしまいます。
  2. 会社が持つノウハウや情報漏れがないことを明確にする
    会社に副業が知られたときでも、ノウハウや秘密事項が社外に漏れないことを明確に伝えることができるようにしておく。
  3. チームワークが乱れないよう会社中心の生活モデルから外れない
    職務に専念することを基本に、目的に応じて無理なく副業ができるライフスタイルを確立すること。本業での営業成績や作業効率に影響を及ぼさないようにしておくことが何よりも大切です。

まとめ

副業はこっそり始めバレても堂々としていれば良い

まず、会社の就業規則を確認しましょう。その上で、副業スタイルが多様化した現在、時間に余裕があれば副業を始めるのも良いことでしょう。ただし、生活に困っての副業においては、節約できることはないか、本当に必要な金額はいくらだというように、目的と予算をきちんと整理して始めなければいけません。

しかし、堂々と副業の説明ができるような準備だけはしておいた方が良いでしょう。単に「生活費が足りなくて」というのでは、ギャンブルや借金が疑われます。

副業はこっそり始めて、会社にバレても堂々とすれば良いのです。ただし、開き直りはいけません。くれぐれも会社への背信行為とならないよう注意しながら、家族の笑顔や自己実現を楽しみながら心に余裕を持って取り組めば本業の効率アップや成果アップにもつながるようになるはずです。

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