不動産投資の利回りって平均いくらぐらい

不動産投資の利回りって平均いくらぐらいが期待できる?

不動産の実質的な利回りであるNOI利回りについて、プロの不動産鑑定士が解説します。表面利回りとNOI利回りとの違い、NOI利回りの水準はどの程度か、地方の物件の利回りが高いのは何故なのかについても期待利回りとの関係から紹介しています。

プロは持っている不動産投資の期待利回り

利回り投資に対して得られるリターンを利回りと言います。プロの不動産投資家の間では、こういう物件なら何%くらいの利回りは期待したいという「期待利回り」というのがあるのをご存知でしょうか?

プロ投資家の期待利回りは、一般社団法人日本不動産研究所が、プロ投資家に継続的にアンケート調査をしており、半年に一度公表しています。プロ投資家は、似たような期待利回り水準を持っており、それを判断軸として物件価格が安いか高いかを判断しています。

不動産投資を始めるにあたっては、この期待利回りと言う判断軸を持つことは非常に重要です。判断軸がないと、適正価格を判断できず、業者のいいなりで物件を買わされる可能性もあるからです。そこで今回は、不動産投資の利回りについて解説していくことにします。

幾つかある利回りの表現

不動産投資で大切な指標が利回りと呼ばれるものです。

しかし、不動産投資の利回りにはいくつかの表現が存在するのをご存知でしたか?

代表的なのが、「表面利回り」と「NOI利回り」です。

1)表面利回りとは

表面利回りとは、単純に年間の賃料収入を物件価格で割ったものです。実はこの表面利回りにはあまり意味はありません。表面利回りは賃料収入から費用を控除する前の数字を投資額で割っているため、数字としては見栄えが良くなります。そのため売手である投資用ワンルーム業者や仲介会社などが、表面利回りという表現をよく使います。

インターネット上では表面利回りが多く掲載されており、実際のところ、どれくらい儲かるのか分からないというのが正直なところでしょう。

2)NOI利回りとは

一方で、NOI利回りは重要な指標です。NOIとはネットオペレーティングインカム(Net Operating Income)の略です。日本語に訳すと営業利益という意味になりますが、正確には企業会計の営業利益とは少し異なります。

企業会計で言う営業利益とは、売上から仕入などの売上原価と販売費及び一般管理費を控除したものを指します。営業利益とは、企業の通常の営業活動の中で得られる本業の利益です。通常、販売費及び一般管理費の中には減価償却費という実際にはキャッシュアウトしない費用が含まれます。

しかしながら、NOIには費用として減価償却費は含まれません。そのため物件から得られるキャッシュを表現したものがNOI利回りとなります。

重要なNOI利回りについて

A) どのように求められるのか

NOIは賃料収入から減価償却費以外の費用を控除した収益です。

不動産の賃料収入には以下が含まれます。

  • 家賃
  • 共益費・管理費
  • 看板使用料
  • 自動販売機設置料
  • 駐車場収入など

費用の中には以下が含まれます。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 損害保険料
  • 管理委託費用
  • 清掃費
  • 設備点検費用
  • 水道光熱費
  • 修繕費など

また運用中に空室が発生した場合、次のテナントを入居させるための仲介手数料や広告宣伝費などのテナント募集費用もあります。

一般的に不動産賃貸業においては、売上に対する費用の割合は15~30%となります。経費率のバラつきが大きいのは、賃料の低い物件や、大部分の費用をテナントが負担する一棟貸しの物件など、様々な形態の投資物件があるためです。

B) NOI利回りはどの程度なのか

ここでNOI利回りですが、10年ほど前は5%程度が標準と言われていました。ただし、最近では日銀の超低金利政策が続いたことで不動産価格が上昇し、NOI利回りも低下してきました。都内の投資用ワンルームマンションなら、立地の良い物件であれば、NOI利回りは4%台に突入しています。

さらにこのNOIの中から借入金の元本と利息も返済します。そのため純粋な儲けは借入金の額にもよりますが、投資に対して2~3%程度といったところになります。

平均のNOI利回りは4~5%

地方ほど高くなる利回り

サラリーマンに人気のある投資用ワンルームについてのNOI利回りについても、地方によってバラつきがあります。

不動産鑑定会社である三友システムアプレイザルが全国の不動産鑑定士に対して、ワンルームマンションのNOI利回りをアンケートしています(出展①)。これによれは、2014年12月時点では、東京山手線内のワンルームで4.8%、札幌市や仙台市、福岡市などでは6.5%となっています。

このように利回りだけを見ると地方の物件の方が儲かるような気がします。しかしながら、地方の物件がこのような高い利回りで取引されているのは、地方の物件は空室リスクが高いためと言えます。

利回りは投資家心理の表れである

冒頭にプロ投資家には期待利回りという判断軸があると触れましたが、このように地方の物件の利回りが高いのは、判断という投資家心理があるからです。つまり、地方物件はリスクが高いため、要求する利回り水準が高く、物件が安値で取引されているということになります。都内の物件は空室リスクが低いため4.8%でも取引できても、札幌の物件は危なっかしいので6.5%くらいないと怖くて取引ができないという投資家心理が利回りに反映されています。

つまり地方物件は儲かるということではなく、地方物件の方がリスクは高いということです。これから投資を行うのであれば、期待利回りの水準を知ることが重要です。まずは色々な事例を見て、自分の中に判断軸を作ることから始めるのが良いでしょう。

出展①

さんゆう資料室 ワンルームマンションNOI利回りアンケート雑考(2014年12月時点)

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