FXで手数料が無料の仕組みとスプレッドの関係

最近のFX業者は取引手数料無料でしかもスプレッドも狭くなっていますからどこで利益を得ているのか不思議ですが、原則固定の裏側にいろいろな秘密が隠されていることが、調べていくとよくわかります。全体的にはボリュームを増やすことで利益を確保しているのが今の状況です。

FXにはなぜ手数料がかかるのか

5D (#28134)5D (#28134) / mark sebastian

その理由と今後の流れ

FX取引にはもともと取り扱い業者の利益部分として取引ごとに一定の手数料を徴収する方法とスプレッドに利益を上乗せする方法、さらにスワップポイントにも利益をのせる方法が設定されていました。

しかし国内での同業者の競争激化のために、一部の店頭FX業者が取引手数料の徴収を廃止したため、いまでは市場の大きな流れは手数料ゼロ円が主流で、最後まで手数料を残してきた取引所FXもほとんどが手数料ゼロへとシフトしはじめています。

したがって、スプレッドはFX業者に残されたきわめて少ない利益ソースのうちのひとつですが、こちらも競争が激しく、国内個人投資家の実に8割近くが利用するドル円を中心にして狭いスプレッドを提供する業者が多くなってきています。

全体として薄利多売がこの業界の原則となってきており、競争はかなり厳しい状況にあることがわかります。

手数料がなくなった部分とスプレッドを含めて業者がどのようにして利益を確保しているのかをみていくことにしたいと思います。

FXの仕組みとスプレッドとは?

Dusted officeDusted office / Dwonderwall

原則固定スプレッドとは日本だけの特別な設定

FX業者の場合、顧客から引き受けた通貨ペアの売買をすべて外部のインターバンクをはじめとした、いわゆるカバー先につけて、そこで約定したものに自社のマージンをオントップするNDD、ノンディーリング方式というものを採用しているところがあります。

このやり方は外部にすべて発注を投げていますから約定したものに自社のマージンと載せていますので、利用する顧客と業者の間で反対売買は一切生まれず、利益相反がないのが大きな特徴となっています。

海外業者の場合

海外の業者の場合ほとんどが既にこのNDD方式を採用していますが、国内では完全にNDD方式を採用しているところは数社しかありません。

本来インターバンクから業者に提供される価格は秒単で変化しているため一定というのはありえない状況で、複数のカバー先を利用すると瞬間的にスプレッドがマイナスになったりゼロになったりするのがこのNDD方式のいいところです。

したがって、透明性を高めるためにあえてスプレッドの中のマージンを外だしして完全にインターバンクの値を直結で提供する業者も現れている状況にあります。

DD方式

一方、国内で大勢を占めているのがDD方式と呼ばれるもので、こちらはFX業者の中にディーリングデスクを置いて、顧客から来た注文同士を調整したり、不足部分をカバー先のインターバンクに発注したりして調整をとっているものです。

原則固定のスプレッドというのは、ある意味で業者が勝手に作り出した架空のスプレッドであり、実際のインターバンクからのカバーではありえない話となります。

それだけにFX業者は顧客とは反対売買をしたりしているケースもありますし、カバー先につなげずに一部分呑みを行っている可能性もあり、実は不透明な部分がかなり残る売買方式なのです。

NDD方式

NDD方式ではマイナスになることもあるスプレッドですから、業者自体はこうした方式を利用して利益を積み上げておいて顧客には一定のボリュームまでは原則固定を提供しているというのが実情です。

原則固定が利用できるのが限られて通貨ペアのみ

この原則固定で狭いスプレッドが設定されるのはドル円、ユーロ円、ユーロドル、その他クロス円の一部だけで、それ以外の通貨ペアには狭い設定がされていないのが実情です。

たとえばトルコリラ円などになりますと驚くほどスプレッドが広くなるのです。実際クロス円というのは実需がほとんどない架空通貨ペアでドル円とドルストレートによって作り出されたものでしかないことから取引ボリュームもきわめて少なく、結果としてスプレッドは広がる傾向にあるのです。

このように国内の店頭FX業者が提供しているスプレッドというのは世界的にみてもめずらしい設定方法であり、実は取引実態から考えると不自然なものであることはあらかじめ理解しておく必要があります。

また小額の取引をされるトレーダーにとってはほとんど関係ないことですが、100万以上の多額の枚数の売買を入れますと、すべてオーダーが入らず一部分だけしか売買できないといったことがこの原則固定の業者に起こることがあります。

これは明らかに小額売買でカバーできる範囲についてだけ原則固定が適用できていることを示唆する状況で、すべてが嘘だとは言いませんが、あらゆる取引に原則固定が対応できているわけではないことも見えてくるのです。

経済指標発表や朝方などはワイドスプレッドになることも

各店頭FX業者の説明書きを見てみますとよくわかりますが、原則固定には時間が明記されていることが多くなります。

東京タイムの午前9時から深夜の2時か3時までといったところが多く、流動性が枯渇する時間は大きくスプレッドが広がることがあるので注意が必要となります。

また米国の雇用統計をはじめとする経済指標の発表時には大きくスプレッドが広がることもありますので、こちらも注意が必要となります。

リスクが発生するときにはさすがにFX業者もそれをそのままユーザーに転嫁してきますので、すべてのコストをもってくれるわけではないことをよく知っておく必要があります。

取引ボリュームで利益を稼いでいるのが実態

こうしてみてきますと、取引手数料がなくなって主要の取引通貨であるドル円などのスプレッドも狭いところでは0.3銭程度ですから、FX業者というのは一体どこで利益を上げているのかと疑いたくなりますが、実は原則固定をしていることによって失うものもあるものの、利益を出すチャンスにもつかっていることがわかります。

また顧客同士のポジションを相殺にすれば利益分だけは丸々業者のものになりますから、とにかく取引ボリュームを増やすことでビジネスチャンスを広げていることが推測される状況です。

まとめ

Facilitating an Online MeetingFacilitating an Online Meeting / mikecogh

顧客側で考えてわかりやすい取引は

顧客にとってもっとも透明性が高いのはNDD方式で手数料を外だしにしている業者です。これならば手数料は確定申告時にコストとして経費計上することもできますので、一番わかりやすい取引方法であるといえそうです。

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