マイナンバー制度で副業はバレるのは本当?

マイナンバー制度の導入により、副業をしている場合の収入が明るみになることが危惧されていますが、本当のばれてしまうのかどうかを所得税や住民税のしくみと絡めて、確認してみます。

マイナンバー制度で副業は明らかになるか?

Headshift business card discussionHeadshift business card discussion / Lars Plougmann

マイナンバー制度で副業は会社にばれてしまうか?

マイナンバーは勤め先に提出することになっています。なぜなら、このマイナンバーは、勤め先が発行する源泉徴収票や支払調書に記載されることになっているからです。

マイナンバーは個人に対する共通の番号であり、源泉税のみならず、住民税や社会保険関係の書類にも記載されることになっています。

住民税は、前年の所得金額に対して、計算されるので、勤め先以外の副業による収入がある場合、その金額も合わせる必要があります。

よって、勤め先で住民税を給料から天引きする場合、この副業による収入も考慮する必要があります。この点が問題ですが、詳細を確認します。

マイナンバー制度で副業はバレるのは本当?

BusinessBusiness / Thomas8047

1)マイナンバーの役割

マイナンバーの役割は、個人の所得を会社が知るためのものではなく、社会保障や税金の申告、緊急災害時の手続きを行政機関が簡素化するためのものです。

また、2018年度からは、預金口座にも任意で番号を紐づけする制度が予定されています。そして、戸籍や、医療、介護との管理提携も予定されています。よって、個人の財産や健康の情報などはマイナンバーを利用することで、管理しやすくなります。

今までは、個人の財産や健康の情報が税務署、市区町村、社会保険事務所でバラバラになっており、同一人として把握することが難しかった状況でしたが、マイナンバーの導入で、個人情報が全て統一化されてきます。

2016年1月からは、通知カードから個人番号カードへの引き換えも予定されており、この個人番号カードは将来的には、キャッシュカードとしての利用も検討されており、マイナンバーの役割は今後、個人の生活において、重要な役割を持つことになるでしょう。

2) マイナンバー会社側の取得と従業員からの通知

会社としては、いつから従業員もマイナンバーを取得する必要があるのでしょうか。

内閣官房のホームページのQAでは、以下のように回答されています。

従業員にマイナンバーが通知されて以降マイナンバーの取得は可能ですが、マイナンバーを記載した法定調書などを行政機関などに提出する時までに取得すればよく、必ずしも平成28年1月のマイナンバーの利用開始に合わせて取得する必要はありません。

例えば、給与所得の源泉徴収票であれば、平成28年1月の給与支払いから適用され、中途退職者を除き、平成29年1月末までに提出する源泉徴収票からマイナンバーを記載する必要があります。

(2015年4月回答)
内閣官房のホームページのQA より引用

よって、平成28年分の年末調整後の源泉徴収票に関して、マイナンバーを記載する必要があり、その時期までに会社としては、マイナンバーを取得する必要があります。

では、個人は勤め先にマイナンバーと必ず、通知しなければならないのでしょうか。また、通知しない場合に、罰則規定があるのでしょうか。国税庁のHPでは、以下のQAには、以下のように記載されています。

Q 申告書や法定調書等を税務署等に提出する際、必ず個人番号・法人番号を記載しなければならないのですか。

A  番号法整備法や税法の政省令の改正により、国税当局に提出される申告書や法定調書等の税務関係書類に個人番号・法人番号を記載することが義務付けられております。

したがって、申告書や法定調書等を税務署等に提出される際には、その提出される方や、扶養親族など一定の方に係る「個人番号・法人番号」の記載が必要となります。

Q 申告書等を税務署等に提出する際、個人番号・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合に罰則の適用はあるのですか。

A 申告書や法定調書等の税務関係書類を税務署等に提出する際に、個人番号・法人番号を記載しなかった場合や誤りがあった場合の罰則規定は、税法上設けられておりませんが、個人番号・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出をしてください。

国税庁のHPより引用

会社としては、法定調書(年末調整後の給与支払いの証明になる書類)を提出する際に、個人番号を記載する
ことになっており、国税庁もそれを示唆していますが、記載がない場合の罰則規定はないです。

よって、今後、この規定が変わる可能性はありますが、マイナンバーの会社の取得はその会社の運用に任せることになり、従業員が、マイナンバーを会社に通知するかどうかは、会社の運用に委ねるようになるでしょう。

3)副業の確定申告

副業により、会社からの収入以外に所得が20万円超の所得がある場合には、確定申告の必要があります。この確定申告は所得税に関するものになります。

会社の給与から天引きされている源泉所得税に関しては、年末調整がされ、基本的には、会社の給与収入のみの場合、ここで所得税の計算は完結します。

ただし、副業の収入がある場合、年末調整後に確定申告を行い、本来の所得金額に対する所得税を確定させます。この確定申告の情報は会社に知られるものではなく、会社が個人の収入を知る要因にはなりません。

問題は、確定申告で確定した所得をもとに計算され、翌年、納付することになる住民税になります。この住民税の納付が、個人の所得金額により異なるので、副業の収入があるかどうかを知るきっかけになりえます。

4)所得税と住民税の違い

所得税は、前述したように、会社の年末調整か確定申告により計算されます。よって、その年の収入に基づく所得金額により、変動します。

しかし、住民税は、その年の所得ではなく、前年の所得金額により計算されます。住民税の決定は、市区町村から通知されます。市区町村は、会社が提出する給与支払報告書に基づき、個人の住民税を計算します。

この給与支払報告書にも、マイナンバーを記載することになっています。よって、住民税は所得税と異なり、計算されてくるもので、金額は確定しています。

よって、その年の収入とは関係なく、その年が無収入でも、前年に所得がある限りは、払う必要があります。

5)住民税の支払方法

住民税の支払方法には、2つ方法があります。特別徴収と普通徴収です。

特別徴収は源泉税と同じく、給与から天引きする方法です。この方法の場合、従業員の住所地である市区町村から住民税の通知書が会社に送付されてきます。

この時に会社が個人所得金額を知ることになります。この方法を避けるには、普通徴収をとることになります。普通徴収は、個人で納付することになり、納付書が個人あてに送付されてきます。

この方法をとる場合には、給与支払報告書を会社が提出する場合に、普通徴収希望と書けばよいことになっています。ただし、この徴収方法も会社に委ねることになり、会社が特別徴収であれば、その方針に従うのが自然な流れになるでしょう。

また、各市区町村も住民税の徴収もれを無くすために、最近では、特別徴収を強化する体制になってきており、注意が必要です。

まとめ

Business bikeBusiness bike / jacme31

マイナンバー制度と副業の関係

マイナンバーを国税や住民税の書類には記載することになっていますが、記載するかどうかは会社の運用であり、徹底されるかどうかは、今後の動向に注目するしかないでしょう。

副業の収入情報に関しては、マイナンバーとの関係だけでなく、住民税の情報がポイントとなります。市区町村の扱いにより、住民税の管理は異なり、普通徴収希望としていても、会社に通知が行く場合もありえます。

よって、本当に副業を知られたくない場合、直接、市区町村に納付方法を相談にいくしかないといえます。

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。