個人投資家が注目!TPP関連の銘柄とは?
各国の国内承認を経て、TPPが本格始動すると、世界の4割を占める自由貿易圏が産まれると試算されています。
世界経済に影響を持つ大きなニュースによって、株式市場はどうなるのか。この巨大な貿易圏誕生を織り込んで、TPP関連銘柄が注目されています。TPPによって、株価上昇が期待できるジャンルを分析してみましょう。
TPPは投資の世界を大きく変える!
In The Boardroom | Episode #02 | Mustafa Al Hashimi / jaguarmena
TPPによって追い風になる産業とは?
2015年12月、政府はTPP発効による経済効果の試算を公表しました。
実質GDP(国内総生産)は2.6%の増加となり、2014年のGDPをもとに計算すると14兆円の経済効果が得られます。また、約80万人の新規雇用が生まれると予測されています。
TPPは、ジャパンブランドの再評価
TPPによって「爆買い」がなくなる?
TPPで最も追い風が吹くのは、「爆買い」の対象になっている産業でしょう。電化製品や精密機械などは、日本の製品が世界的にも高評価を得ていることで、中国など各国から大量に来日し、一括して購入をする爆買いが流行しています。
ただ、この爆買いは「自国で(日本製品を)購入すると関税がかかるため、日本で購入する」という動機が流行理由のひとつです。
中国は経済的にとても裕福になったとはいえ、14億人ともいわれる世界一の人口を誇る国家です。経済的な格差は大きく、「爆買いのため日本に来られない」層も広いと予測されています。
ジャパンブランドの憧れは同じ。TPP発効により、その層に日本製品が届くようになる、と言えます。爆買いにとってはプラスではないものの、製造メーカーにとっては歓迎すべき方向といえるでしょう。この爆買い→TPPへの移行、実は隠れた主役がいます。
衛生用品~爆買いの隠れた主役はTPPにも存在感?
爆買いで街を歩いている外国の方を良く見ると、家電量販店の他にも目立つ紙袋があることに気がつきます。それは「ドラッグストア」です。
日本の衛生用品は世界的に見て品質が高く、特に「ウォシュレット」などはこぞって購入し母国にて設置、ウォシュレットの設置したトイレを他人に使用して貰うことで「自分は爆買いのできる人間だ」というステータスになると聞きます。
また、女性用の生理用品も日本の品質が高い産業のひとつです。日本で生産して海外に廉価で輸出できるようになれば、需要が更に上昇するでしょう。
「これから」グローバルになる企業を狙おう
TPPは日本から輸出をする企業に恩恵があるわけではありません。世界を股にかけて商品展開するグルーバル企業にも可能性があります。題名になぜ「これから」とつけたかと言いますと…。
既に日本国内での製造拠点、および販売販路を確立している企業は、TPPによる完成撤廃はほぼ関係ありません(原材料を輸入している、と考えれば「まったく関係ない」とは言い切れませんが)。
そうなると、ある程度国内市場を独占して、「次は世界だ」と狙っているこれからのグローバス企業予備軍が、TPPの恩恵を最も受ける位置にいる、と言えるでしょう。
食品や税贓物のほか、これから日本では何が流行るのかを考えるのは、まさに先行投資。TPPはグローバス企業を生むスピードを早める、とも解釈することができます。
関税、から離れてみよう
発想を関税から離れて考えてみましょう。現段階で詳細は不透明ですが、サービス業や知的財産の分野、漫画やアニメなど「ソフトパワー」の分野にも、TPPは幅広い影響がある、と言われています。こ
の分野はTPP発効によってサービスの値段が変わる、というよりは、「これまで規制により販売できなかった商品が自由に販売できるようになる」という特徴があります。
いわゆる「無形サービス」も、これまで国内企業間でしのぎを削っていた時代から、世界を見て考えなくてはならないようになるでしょう。
筆者の活動するFPの世界でも、「TPPによって生命保険などの国内企業に影響があるのでは」という問い合わせを受けることが多くなっています。日々刻々と変わる情報に注目です。
原料
石油・エネルギーなどの「原料」はどうでしょうか。これらは日本でとれないだけ、TPPの影響はそう大きくはない、とも思いがちです。
ただ、関税の撤廃によって日本国内での販売価格が変わると、国内のシェアが変わる可能性があります。たとえば石油です。
現在はシェールガスにより原油価格は低空飛行といわれていますが、今後TPPによってどう変わるか。もちろん、様々な要因が絡まり合う分野のため一概に「こうなる!」とは断定できないのですが、興味深い分野です。
「織り込み済み」には注意を
ただ、TPP株価に影響を持つ!という考えについては、ひとつ注意が必要です。それは、「市場は既に織り込み済み」の考え方があること。たとえば自動車です。仮に「TPP発効のもと日本とアメリカで独自協定を結び、自動車の関税をすべて撤廃」となったとします。
ただ、その前から自動車の関税が撤廃されそう、という専門家の推測を呼び、株はその時点で買われます。実際に新聞に報じられた時は、株価が大きく動くことはない可能性が強いです。
個人投資家が専門家(機関投資家など)に対して、なぜ不利なのかというと、この「推測」を読む十分な情報がないから、と言われています。
まとめ TPPの異なる「関税撤廃時期」に注意
関税撤廃時期は産業によって異なる
今回はTPPによる、株式市場への影響を分析しました。TPPは大筋合意をして今年中に日本国内での承認が見込まれるものの、肝心な関税撤廃時期は産業によって異なります。
具体的な撤廃時期が読まれているものもあれば、「将来的な撤廃を」としているものもある。株式市場への影響がどうか、を考えるには、まさに投資家としての力量が問われます。
TPPの影響を読み切るために、投資家の方それぞれの上昇収集力、そして分析力がものをいう、と言えるでしょう。
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