知って欲しい!不動産投資で失敗した事例と5つの共通点

2020年東京オリンピック開催前の好景気で不動産投資に目を向ける方が増えています。そんな今だからこそ飛びついて失敗した多くの「事例」があります。そこで不動産投資の失敗した事例と、そこに共通する5つのポイントをまとめましたので、是非、不動産投資を始める参考にしてください。

なぜ不動産投資に失敗してしまうのか?

不動産を知りリスクを知った上での投資が重要

不動産投資で失敗してしまうのはなぜでしょうか?

株式投資とは違って、不動産はある日価値が限りなくゼロに近づき「紙屑同然」になるような事はありません。ハイリスク・ハイリターンの株式やFX投資と比較した場合、ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品である不動産はまだ安全な投資だと言えます。

しかし、「紙屑同然」まではいかなくとも、黒字経営が突如として赤字経営になり、予想した収益が得られなくなる「事例」は数多く存在します。

  • 「賃料水準が高過ぎため、一旦退去すると値下げしないと埋まらない」
  • 「利回りが10%を超えていたはずなのに、実際は8%すら回っていなかった」
  • 「買った途端、エアコンやガスの室外ユニットが壊れ始めて出費が嵩んでしまった」

家主の悲痛な叫びを何度も聞いてきました。
多くの失敗は、不動産投資の「リスク」や「キャッシュフロー」を知らずに手を出した事が原因です。

それでは実際に不動産投資の失敗例を挙げて、5つの共通点をお話します。

不動産投資で失敗した事例と5つの共通点

「表面利回り」を信じ込み「ネット利回り」を知らなかった

前回もお話したことがあるのですが、不動産投資で失敗する方の多くが、ポータルサイトや業者の物件概要書に太字で書かれた「表面利回り」を鵜呑みにして購入した方なのです。

「表面利回り」とは、物件の月額賃料を12倍した賃料の年額相当額を販売価格で除した(割った)だけのパーセンテージです。

この利回りの中には、実際に支払う固定資産税、ローン支払いなどの「支出」が含まれていません。つまり、単なる目安に過ぎないパーセンテージです。

通常、ほぼ全ての物件概要書はこの「表面利回り」が太字で表示されています。

これを鵜呑みにして物件購入すると、家主になった後で痛い目を見ます。

では、実際の収益力を表す指標(目安)はないのでしょうか?

それが「ネット利回り」です。

詳細は別の回でも触れましたが、実際に支払われるあらゆる支出を年額ベースで把握し、同じく賃料以外に共益費等を多く徴収し、実質的に賃料の一部となっている額も含めた年額収入から差し引いた純収益を「NOI」と呼びます。(ここではNCFの説明は省きます)「ネット利回り」はこのNOIを販売価格で除した(割った)利回りであり、より物件の持つ収益力を把握した利回りです。

残念ながら、これが正確に書いてある物件概要書はほとんどありません。

ではどうすれば良いのか?

最後は自分自身が業者に収入・支出のデーターを求め、自ら算出する必要があります。

不動産投資の失敗事例のほとんどが「表面(グロス)利回り」と「ネット(NOI)利回り」の区別を知らず、業者が示した「表面」の数値に飛びついた投資の初心者なのです。

満室想定の賃料一覧表にまんまと騙されてしまった

利回り概念の区別ができなかった失敗の次に多いのが、物件概要書の備考欄などに小さく書かれた一文「満室想定」という表記を見落としてしまった事です。

「満室」を「想定」するというのも、物件が現在空室の場合、ワンルームでしたら全く収入がありませんね。一棟アパート・マンションの場合、10部屋あれば、1部屋が大学生の卒業で退去により空室になっているケースも3月の卒業式以降出てきます。

この空室部分に業者が「想定」した賃料を書き込み、「満室想定 ●●万円」と仮定の数値を書くのです。

私達不動産鑑定士も鑑定評価するとき、空室があれば「想定賃料」を空室部分に入れて「総収益」を計算していますが、現在入居中の賃料が適正水準より高い場合・安い場合は、周辺の賃料水準を参考に、適正と判断された想定賃料に替えて収益力を検討しています。

ところが、一部の業者はワザと高めの賃料を書き、収入を水増ししてあるケースもあり得ます。

つまり「満室想定」は「絵に描いた餅」です。

そもそも空室は学生の卒業だけでなく、転勤その他の理由で一定数必ず出てしまうものです。しかし、空室が2室、3室あると、本当に賃貸需要があるのか疑惑が生じます。

実際、現地に行ってみると、周辺のアパート・マンションも空室が目立ち、全然埋まってない事がわかることがあります。

このように、「想定賃料」が適正か否か?そもそも「満室」になるのか否か?

最後は自分の足を使って確認する必ことを忘れないで下さい。

「修繕リスク」を把握せず雪害による支出増で赤字転落

2017.3.31現在、都心3区は表面利回り5%でも右左に動くと聞きます。

高利回り物件を求める不動産投資家は、地方の主要都市に目を向けています。

首都圏の投資家が良く投資している地方の一つが北海道の「札幌」です。

イメージの通り、北海道の冬は厳しく、札幌は雪も多く降ります。この位は誰もが想像できる範疇でしょう。では、賃貸物件として考えなければいけない「リスク」は何でしょうか?

この場合「修繕リスク」が増大する予測が、すぐ頭に浮かばないようでは危険です。

雪国でも札幌の雪、新潟の雪、そして鳥取など山陰の雪、それぞれ違いがあるので状況はその土地によって全く同じではありませんが、塩分を含んでいてもいなくても水分を含んだ雪が鉄部を腐食させ、屋上防水加工を痛めます。アンテナも錆びるのが早いでしょう。

最初からこうした「修繕リスク」を把握した上で購入するならともかく、夏に物件を見に行って、「表面利回り」10%以上と「満室想定賃料」を鵜呑みに購入すれば、痛い目に遭うのが目に見えています。

「不動産のリスク」を把握しなかった事が原因の「失敗事例」は雪だけではありません。

※なお、札幌の物件が危ないというワケではありません。しっかり「リスク」を見越した投資で立派に成功している方もいます。

金利上昇で毎月のローン支払い額が増え収支の悪化で失敗

若いサラリーマンがいきなり一億の一棟マンションを購入することはまれです。

多くの方が少額物件、特に総額3千万円前後のワンルームあたりを最初に購入します。

今、超低金利が続いていますが、いつ何時日銀が銀行に貸し出す金利を上げるか?経済学者や評論家でも完全な予測は不可能です。

もし、銀行の貸出金利が上昇すれば、変動型の場合、毎月のローン返済額は上昇します。

当然ですが「支出」の増加で「収入」から差し引いた「利益」は減ります。

これを10年単位で考えるとどうか?

金利上昇で「支出」が増加するだけでなく、建物の築年数が進むにつれて賃料水準も見直しする時期が来ます。一旦入居者が退去すれば、次の入居者を募集する賃料を周辺相場に合わせて下げる必要が生じます。すると「収入」も下がってしまいます。

当初の計画から10経過した後、利益を生み出していたワンルームは赤字の「借金の担保物件」になってしまう可能性もあるわけです。

この失敗は「今」だけを見て「将来予測」を見込んだ「収支計画」をしていなかった「失敗事例」です。

投資期間終了時に売れない物件を買ったと気付いた失敗

最後に「出口戦略」を意識しなかった事による失敗事例をご紹介します。

「出口戦略」とは、不動産投資の投資期間が完了し、投資物件を売却し、その利益「キャピタルゲイン」を得るための戦略です。

もっと簡単に言うと、最後に売却処分するための計画です。

不動産投資の利益は一定期間物件を保有し、賃貸することによって得られる賃料収入「インカムゲイン」と、投資終了時の売却利益「キャピタルゲイン」の2つから成り立っています。

「インカムゲイン」についてはかなり勉強されている方が多いのですが、「キャピタルゲイン」を得るための「出口戦略」までしっかり考えている方は多くありません。

仮に都心郊外の三多摩地区にある、土地約100坪、木造2階建で築30年のアパートが同じ敷地に2棟建っている物件があるとします。

建物の減価償却期間は既に経過し、売却処分をしようと不動産業者に話を持ち掛けます。

100坪の大規模地ともなると一般のエンドユーザーでは買い手が付かず、土地を分割後、建物を建て、あるいは建築条件を付けて販売する建売業者が販売素地として購入することになります。

しかし、物件を紹介してもいい返事がきません。

原因は、土地の間口が6mと狭く、奥に長い長方形だったからです。

道路が角地や二方路地であれば分割ができたはずですが、間口が狭く奥に長い物件は分譲用に売れる30坪サイズにうまく分割できません。

結局、坪単価に面積を掛けた想定売却価格の半額以下にまで値下げし、やっと買い取り業者が買ってくれました。

この事例は格安でも売却できましたが、利回りだけに飛びついて買った接道2m以下の「再建築不可」物件など、使い物にならない土地として買い取り業者も買ってくれないケースがあり得ます。

この失敗は購入時に「出口戦略」を意識し、「売れる」物件かどうかを考えていなかった失敗事例です。

「入口」があれば「出口」があります。

不動産投資の「出口戦略」は「不動産を見る目」を養わないと失敗の原因となります。

まとめ

物件概要書の数字を鵜呑みにせず自ら見る目を養うこと

不動産投資の失敗事例の多くは業者が提示した「表面利回り」と「満室想定」の収支計画を鵜呑みにした事に起因します。また様々な「リスク」を意識しなかったことや、景気変動によるローン支払い額や賃料水準の低下による収支の悪化など、長期的な視点で収支計画を見なかった事も原因に上がります。そしてなによりも不動産を見る目を養わないと「出口戦略」で失敗してしまうのです。

 

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