これが今の世界の図式!?TPP参加国の一覧はこれだ!

2015年10月、「TPP大筋合意」というニュース速報が流れました。日本では、「農業の危機」と報じられることも、「貿易の拡大」と唱えられることもあるキーワードです。この合意により、今後の世界の貿易は大きく変わると言われています。そもそもTPPは、どの国が主導権を取り、現在どの国が参加しているのでしょうか。参加しなかった国の理由は。参加国から見た、TPPに迫ります。

「参加国」から見たTPPの徹底分析!

Global Warming.Global Warming. / Me in ME

TPPは南太平洋生まれ?

TPPとは、環太平洋パートナシップ協定(または環太平洋経済連携協定)のことです。Trans-Pacific―Partnershipの頭文字からTPPと名付けられました。

2013年、日本が協議に正式に参加してから国内議論が活発になったため、まだ3年程度の協議と思いがちですが、実は東南アジア生まれの、10年以上前から生まれていた貿易ルールです。

参加国一覧からわかる、TPPのこれから

Global Precipitation Measurement (GPM) MissionGlobal Precipitation Measurement (GPM) Mission / NASA Goddard Photo and Video

TPPとは?

TPPを一言でいうと、「大規模の経済連携協定」と言えます。通常、国と国との貿易は、「関税」がかかります。たとえばアメリカの自動車が日本に輸入されていますが、とても高価なイメージがあると思います。

これは、アメリカで製造された自動車に、日本に持ってくる時の輸送費だけではなく、日本で輸入時の税金である関税が課せられているためです。

同じことは日本の輸出品にも言えます。最近は中国の方々が大挙して日本に入国し、家電製品や化粧品を大量購入する「爆買い」が話題となっていますが、これも中国国内で購入すると、関税がかかり割高になるから、と言われています。

空港なのでは、よく「免税店」というお店がありますね。この免除されている税金が、関税です。そのため、免税店の商品は相場価格よりも割安価で販売されています。

関税をかける理由はひとつ。「国内の自動車産業を守るため」です。国産の自動車が安いと、販売数が伸びるため、給与も増え、国内の景気が良くなる好循環を導きます。

TPPは、この関税を、原則90%撤廃して、各国間で更に貿易をしましょう、とする連携協定です。関税撤廃率は、各項目(産業)によって異なります。

実はまだ、「合意」が済んでいないTPP

2016年年頭の国会で、安倍首相は「TPPの合意をして…」を演説していました。聞いていた人は、TPPは
昨年合意したはず、と思ったでしょう。

実は、昨年10月のTPPは「大筋合意」といい、各国の主張を取り入れ、若しくは譲歩して大筋でまとめた合意案になります。この後は、日本をはじめとした各国で、「国内議会等の承認」が必要になります。

承認作業の期限は大筋合意から2年間ですが、参加国内のうち、国内総生産(GDP)の合計が全ての参加国の85%以上を占める6カ国が合意すると正式に効力が発生します。

この文章だと複雑ですが、要は「いくつかの(経済規模の)大きな国が合意すれば問題ない」ということです。

TPPが合意すると、世界の4割を占める自由貿易圏が産まれると試算されています。日本は、政府が大筋合意の「国会承認」のタイミングを見計らっており、先頃招集された2016年通常国会で提案されるかどうか、というところです。

若手政治家として注目を浴びる小泉進次郎衆議院議員が就任した「農林部会長」は、現在このTPPにおける国内調整が主な仕事のひとつです。

TPP参加国一覧を見てみよう

それでは、TPPの参加国を見てみましょう。

  1. アメリカ
  2. 日本
  3. カナダ
  4. オーストラリア
  5. メキシコ
  6. マレーシア
  7. シンガポール
  8. チリ
  9. ペルー
  10. ニュージーランド
  11. ベトナム
  12. ブルネイ

以上12カ国です。環太平洋と銘打っているのに、名前のない国がありますね。太平洋を囲むロシアや中国です。フィリピンも合わせての経済相互自由化、という印象が強いですが、これらの国に加盟する動きはありません。

韓国も、TPPに関して静観を保っています。それは何故か。理由は、TPPははじめから「環太平洋諸国での発効を想定していたものではない」からです。

TPPは南太平洋生まれ?

TPPは2005年6月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国で調印した自由貿易協定
が元になっています。

当初、この4カ国で発行していたものの、規模を拡大しようとする流れになり、2010年3月から、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーの5カ国が加わりました。この9カ国で、2011年に一度大筋合意に至っています。

更に、メキシコ、カナダ、そして日本が参加し、2015年10月の大筋合意を迎えます。いわゆる「3度目の大筋合意」なのですね。この経緯を見ると、当初南太平洋の国々で関税撤廃のもと経済自由化を目指したところ、アメリカやオーストラリアの大国が参加し、次いで日本が参加したという構図ですね。

つまり、TPPは「南太平洋生まれ」と言うことができます。

今後のTPPを主導するのは?

ただ、今後のTPPを主導するのは、アメリカと日本といえるでしょう。前述した発効条件の「国内総生産(GDP)の合計が全ての参加国の85%以上を占める6カ国」も、この両国のどちらかが合意をしないと要件を満たしません。

そのため、両国の責任はとても大きなものとなっています。また、国内承認のためには、具体的な各品目の税率や諸条件を引き出す際に有利な条件が必要になる必要があり、紆余曲折が懸念されています。

また、最大のGDPを占めるアメリカは、今年2016年秋に大統領選挙を控えており、TPPへの参加可否は大きな争点になる、と言われています。

日本にしても、同じ構図で2016年に参議院選挙があります。選挙争点で目立たないように、TPPの各議論は選挙後になるのでは、という噂話があるほどです。

今後のTPPは、アメリカと日本に注目

Global ExpressGlobal Express / andrijbulba

発効のために重要な、今年選挙を控える2カ国

TPPの成り立ちから、2015年秋に大筋合意をした現在の参加国12カ国を通して、TPPのこれからをお伝えしました。

具体的な品目の関税はもちろん、2か国間にどう落とし込むのか、それはいつからなのか。TPPの詳細は、まだ明らかになっていない部分も多いです。

ただ、本格的に運用されると、「世界の経済を変える」と言われているTPP。これからのニュースに注目です。

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