確定申告で控除される「ふるさと納税」の仕組みと書き方
わずか2000円の自己負担で各地の特産品がもらえるということで話題のふるさと納税。うまく利用すれば本当にお得な制度ですが、その仕組みを知らないと損してしまうこともあります。
今回はそのふるさと納税の仕組み、そして具体的な確定申告書への書き方を説明いたします。
そもそもふるさと納税とは何か
Wenzhou. / @yakobusan Jakob Montrasio 孟亚柯
ふるさと納税の制度の概略
納税という名前がついているので誤解されがちですが、ふるさと納税はどこかの町に税金を納めるのではなく、寄付をする制度です。
もともとは、都市と地方の税収格差を埋めるために2008年に創設されました。寄付先は自分のふるさとに限りません。全国各地の自治体に寄付することが出来ます。
寄付した金額のうち、2000円を超える部分の金額が所得税や住民税から差し引かれ、安くなります。また、寄付した自治体によっては、そのお礼としてその地域の特産物などをもらうことができます。
つまり、2000円の自己負担で、地域の特産物がもらえる大変お得な制度です。
ふるさと納税、その仕組みと確定申告書の書き方
まずは自分の税金から控除される税額を知ること
さきほど、2000円を超える部分が税金から差し引かれると言いました。実は、その差し引かれる金額は、収入や家族構成によって異なります。
平成27年4月の税制改正により、控除を受けることが出来る上限額がそれまでの2倍になりました。控除される税額の計算式は次の通りです。
1.所得税からの控除額
(ふるさと納税額‐2000円)×所得税の税率
2.住民税からの控除額(基本分)
(ふるさと納税額‐2000円)×10%
3.住民税からの控除額(特例分)
(ふるさと納税額‐2000円)×(100%‐10%‐所得税の税率)
※上記計算式の金額が住民税所得割の2割を超える場合は、次の計算式
(住民税所得割額)×20%
かなり複雑な計算式ですね。
総務省が、給与所得者向けに年収別、家族構成別の控除上限額の目安をホームページに公開しています。EXCELファイルのシミュレーターも用意されているの非常に便利です。
ただし、結局はその年が終わってみないと確実な金額はわかりません。あくまでも目安として考えるようにしてください。
控除を受けるためには確定申告が必要?
結論から言えば、次の全ての要件を満たす人は確定申告をせずに、ふるさと納税による控除を受けることが出来ます。通称「ふるさと納税ワンストップ特例制度」というものです。
- 1か所からの給与収入のみであるなど、もともと確定申告をする必要がない人であること
- 医療費控除や住宅ローン控除など、他の控除申請をしない人であること
- ふるさと納税先の自治体数が5団体以下であること
- 平成27年分については、平成27年4月以降のふるさと納税のみであること
副業しており、確定申告の義務がある人についてはこの制度の適用を受けることが出来ないので、確定申告しなければ控除を受けることはできません。
ちなみに、この制度の適用を受けるためには、寄付先の自治体に特例申請書を提出する必要があります。
また、寄付した後に引越しした場合は変更届出書を翌年1月10日までに寄付をした全ての自治体に提出する必要があります。
もらった特産品に税金がかかることもあります
ふるさと納税のお礼として各自治体からもらった特産品、実はこれ、経済的な利益を受けたということで「一時所得」という所得の対象になってしまいます。
一時所得については、次の計算式で説明するように年間50万円までは税金はかかりません。また、計算した一時所得の半分に税金がかかることになります。
一時所得の金額
(収入金額‐収入を得るために支出した金額‐特別控除額50万円)
※特産品を得るためにしたふるさと納税は、収入を得るために支出した金額にはなりません。高額のふるさと納税をした場合や、保険の満期があった場合など他の一時所得がある場合などは要注意です。
ふるさと納税して申告もきちんとしたのに、これが漏れているがために延滞税を払うことになった、なんてもったいないことです。
確定申告所の書き方について
それでは具体的にふるさと納税を受けるための確定申告書の書き方について説明します。確定申告書にはAとBの2つの様式がありますが、基本的には同じ書き方です。
まず、第1表の「所得から差し引かれる金額」の寄附金控除の欄に、次のいずれか小さい金額を記入します。
- 「所得金額」の合計×0.4‐2000円
- ふるさと納税※の額‐2000円
※ふるさと納税以外に寄付があった場合は、ふるさと納税額と他の寄付金の合計額
次に、第2表に記入していきます。
申告書Aの場合は「住民税に関する事項」の寄付金税額控除の欄に記入していきます。申告書Bの場合は「住民税・事業税に関する事項」に寄付金税額控除の欄があります。
その中の「都道府県、市区町村分」にふるさと納税した金額の合計額を記載してください。第1表、第2表とも、他の箇所への記載方法は、ふるさと納税がない場合と同じです。
なお、ふるさと納税によりもらった特産品が一時所得として課税される場合は、そのもらった特産品の価額を一時所得の収入金額に入れることを忘れないようにしてください。
また、確定申告書を税務署に提出する際は、自治体からの受領書を添付する必要があります。源泉徴収票などの添付書類と同様、添付を忘れている場合は税務署から問い合わせがあります。紛失には十分気を付けて下さい。
まとめ 以外と簡単なふるさと納税による控除
確実に税金の控除を受けましょう
ここまで、ふるさと納税による控除の仕組みと確定申告書の書き方について説明してきました。
控除の仕組みについては、「自分がいくら控除を受けることができるか」ということを把握することがポイントです。平成27年より、控除を受けることが出来る金額が従来の2倍になっていますのでもう一度確認してみてください。
また、確定申告書の書き方についてはそれほど難しくないということが分かっていただけたのではないでしょうか。せっかく寄付したのに、確定申告せずに控除を受けなかったというのは本当にもったいないです。確実に申告して、しっかり税金の控除を受けましょう。
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